総選挙予想

= 自民党圧勝はないが政権交代もなし =

= バラバラが伝統の万年野党に失望 =

 2021年10月14日、衆院解散──総選挙がスタート(公示日、2021・10・19)した。
公示日から私に電話が入ってきた。

「どうだい、東京の選挙情報は?」というものだった。

 彼は特別、政党に入っているわけではないし、誰かのサポートをしているわけではない。政治に関心が強いから、私に解説を求めてきた。

 私の政治解説は、いつも言っていることだが、「野球解説者の中には、ホームランを打ってから、ホームランを打つと思いました」なんて、結果論を堂々と解説する輩(やから)がいる。

 こんな解説は幼稚園児や小学生だって誰でも言える戯言(たわごと)だが、選挙が終わる」とマスコミ解説者が、したり顔で解説するのが常。

 上記のことを札幌の友人に語った後に、私は次のことを伝えた。

 今回の岸田内閣の解散は唐突sで、自民党の岸田カラーを出す時間もなかった。

 一方、野党は4年間、丸々選挙準備期間があったにもかかわらず、野党間調整もできず何をやっていたのか。

 毎度、マスコミの世論調査では自民50%前後。野党はどちらも1桁ばかりで話にならない。1桁の原因を探ろうともしない野党野郎。だから私は選挙のたびに天下を取ろうとしない野党に税金ドロボウと叫ぶのです。

 とは言っても自民党は黒星続きでほめたものではない。安倍政権、菅政権。小池都政は「コロナ禍の失敗」を免れず、さらに経済政策の中で格差社会を生んだ安倍政治の失敗。モリ・トモの失敗、桜を見る会のデタラメ、赤木俊夫さん(大阪財務局職員)を自殺に追い込んだ安倍と官僚役人の合作には、私もホトホト自民政治にあきれている。

 特に安倍、菅(当時、官房長官)はコインの表裏の関係で2人はやりたい放題で同罪。

 私は佐藤栄作首相時代から田中、三木。福田(赳夫)、大平、中曽根首相までの時の内閣をこの目で首相官邸で見てきたが、7年8カ月の長期政権の安倍政権にはウンザリ。

 戦争を知らないで育ってきた安倍坊ちゃん政治は、汚職、ワイロ、利権、‥‥何でもありの自民党政治がつぶれない不思議な政治。

 1週間後、衆院選投票日(2021・10・31)で間もなく審判が下る。自民党は先にも申したように、国民から評価を受けるような政治をおこなっていないが、「コロナ禍失敗で前回並みの大量得票を得られないが、衆院で過半数を取れるだろう。」

 そして、「連立を組んでいる公明党が一定の固定票を持っているから、自公連立政権は間違いない」。こんな推察は小、中学生でも浮かぶ。

     *  *  *

 野党側に目を移すと、総選挙の演説は目をおおうばかりの惨状である。

 立憲民主党の枝野にしても、国民民主党の玉木にしても、共産にしても、自民党の岸田首相をまねて「コロナ禍による給付、失業問題」のはいいとしても、LGBT(同性愛)権利と、夫婦の子供別姓問題をテレビで討論している姿を見ていると。私は「お前たち、何をやっているのか。コロナで日本民族が次々と感染して死亡していく時代、コロナで経済が全滅していく時代。国民の税金がLGBTや夫婦の子の別姓問題で騒がれては政治家はいらないし、国家はもたない」とののしりたい。

 わたしは「LGBT」に賛同したり「子供の別姓問題」に権利を認めよ、いうほど熱心ではない。当人の趣味程度と思っている。

 LGBTなどに反対すると、あたかも「人権だ」、「差別だ」と反論するマスコミが多いが、私は差別まではしないが、無視する。

 父親、母親でない同性の親を持つことが、子供からみれば、どれほどいやなことか、子供心にわかっている。私はそのような事例を多く見てきたからだ。

 私は無神論者で特別な神はない。しかし、男女が自然界でほぼ半数で生まれてくるのは自然の摂理であり、これを無理に人工的に男女を逆にすること自体、自然法に反する。これこそ神に対するぼうとくである、と解説しておく。

 そこで野党問題について、あらためて説教したい。私は民主党発足以来、口をすっぱくして訴えてきたことだが、自民党に比べると野党は相変わらずバラバラ党。

 政権党に対抗して一致団結してやろうという気概は敗戦後の70年を見ていると、日本新党から民主党政権の誕生などがあったものの、やがては結局、伝統のブーメラン現象のバラバラ野党だった。野党は国民の夢を「失望」させ続けてきた。

 最近の立憲民主、国民民主などを見ていると、それほど違いはなく、枝野、玉木の党首たちはほとんど相違なく(憲法にやや違いはあるが)なぜ分裂したのか。

 私は記者業を半世紀やってきたが、立憲と国民の分裂劇が良くわからない。今の政治は日本では政党助成金が年間318億円ほど支払われる。

 これを各政党勢力別に分配される。政権党にもなれない野党が利権を求めて分裂劇をやっているのではないか、とまで疑ってしまう。10党になると笑っちゃう。

 1週間後に総選挙の審判が下るが、政権党・自民に勝てる要素は1パーセントもない。決定的なことを言えば、野党に今、「人材」がいない。小沢一郎のように、政党を束ねる人材もいない。

 なのに、野党連中は束ねる力量(大将)もないのに俺が俺が‥‥と言うだけで、自民を横綱とすれば、今の野党は三役どころか十両ほどの実力差がある。 

 生前の田中角栄首相は、私に次のように言った。

「政治は生活だ。政治が民主主義である限り、過半数を取らないと政権は取れない。政権を取って始めて予算を動かすことができる」と主張していたのは、小学生でもわかりやすい民主主義の原則。

     *  *  *

 ところが、今の野党、特に枝野党首、玉木党首いを見ていると、街頭に立った時、テレビ討論をやっている時、「演説に酔っている」だけで聴衆に訴える人間力の力量が足りない。

 麻生副首相(当時)は解散時、次のように本音を語った。

「皆さんは民主主義というが、政治は権力闘争なのだ」と笑った。その権力闘争を野党はわかっていない。

 今、さかんに枝野も玉木も共産党もコロナ禍による財政の配分を求めて国民に訴えているが、どれだけ富士山のように高く予算案をかかげても、天下、すなわち「権力」をとらなければ、角さんの言うように1円も動かせないのが現実。それが政治です。わかりますか。野党諸君!

 私とは意見、思想は違ったが、成田知己、土井たか子、石橋政嗣らの旧社会党の委員長は、新橋、新宿、池袋、渋谷などで街頭に立った辻説法は今も忘れない。当時は憲法9条守れ、安保反対が主力だった。あれから50年もたつと、野党が街頭の車の上に立つ姿はほとんど見られない。

 選挙運動期間だけ主要駅に立つ野党には明日はない。私の知っている野党は六本木、銀座、赤坂で飲み食いする声は聞くが、平時の地方まわりがほとんどない。

 自民党をほめるわけではないが、自民は各地方の自治体の組織、結婚式、祭り行事まで食い込み、コツコツと票集め。そんなことを1年中やっている。

 中曽根首相は生前、自民党の3回生まで議員に向かって「新米は選挙地盤が弱いので、3回生までは地元選挙区まわりを第一にやれ。政策はそのあとでよい」。金言である。

 私の知っている野党は連合のような組合頼みばかりで、野党の望む票取りになっていない。私からみれば連合なんて大企業の貴族が労働者になりすましている姿でしかなく、若い人ほど組合離れだ。

 野党は10年も20年も国政選挙のたびに「時代の風」を頼りにしているが、こんな他人頼みの政治は天下は取れない。

 憲法9条だけを唱える時代はおわった。その理由はアジアの地政学が大きく変化したからだ。その点では維新の会が伸びる可能性高く共産は低迷する。

     *  *  *

 自民党はもちろんだが、特に野党に申しあげたい。

 選挙戦に入って1週間ほどで、日本列島の津軽海峡から太平洋に抜けて、鹿児島の大隅半島を経て中国軍艦、ロシア軍艦は日本列島を一周して日本脅しで取り囲んだ。

 こんなことは敗戦後、初めてのこと。さらに北朝鮮は日本に向けて300発以上を用意。

 また、中国はすでに東京23区分と同等の土地を北海道で入手。私のところに慶大の教授から「北海道が中国に買われた土地分は、税金の1円も払っていない。どうしてこうなるのか。」と嘆く。

 こんなことあがあっても、前道知事の高橋はるみ参院議員は、これらに目をつむり、東京に去った。

 さらにアジアでは最近、中国が連日、台湾近海へ軍用機、軍艦の脅し。日米安保条約があるから、といっても、台湾有事は日本有事と同じ連動する。

 日米安保があるから安心とは日本人はほとんど思っていない。「アメリカ第一」を掲げる米国は、本当に日本を守る気があるのか!日米安保の先はどう変質していくのか?

 これは秘中の秘だから確認のしようがないが、私の耳に入った8月(2021年)情報は元防衛省の役人から「中国人の軍人は日本にすでに80万人も民間人として入っている。横浜の中華街のトップは、いつでも民間人から軍人に変身できる体制になっている」とささやかれている。

 時代はこういう不穏な入る折り、先に述べた通り野党とか朝日、毎日などは、今どき重箱の隅をつついたような「LGBT」とか、結婚後の「子供の別姓問題」に真剣になっているのがわからない。

 本来、政治とは国防と財政の2本柱がしっかりしていないと、国家は成り立たない。崩壊する。

 コロナ禍程度でも、日本政界がこれほどオロオロする姿では、もし「戦争」にでもなるとどう対応するのか。そのすべはない。平成後期から令和時代に入って、世界は激変している。世の中は吉本興業のお笑いに浮かれて、政府は下敷きになり、庶民はコロナ禍現象で社会は敗戦後、いちばん不安定化している。これからコロナ不景気が始まろう。

 現実の永田町は岸田政権に頼るしかないが、政治が極楽トンボ化して、つかみどころがない。その原因の一つは政治家とマスコミの堕落。マスコミ陣の権力(政府)に対する忖度はひどすぎる。

 (注)私は冒頭に札幌のS氏を出したが、私の選挙結果前の予測、予想を証明するためです。

令和3年(2021年)10月
村井 実